「向こうに着いたらオレの友達を紹介してやるよ。」
柳が、電車の中で笑う。向かいの席に座った、話の相手がため息を吐いた。
「ヤナ君の紹介する友達って、いっつも変な人だからな〜……」


〜Three Thieves , Conflict Composition〜


「柳のイトコ〜?なに、そんなん連れてくんの?」
教室。休み時間のザワザワした空気の中、窓際の一角で新と柳が話している。
「椿は良い奴だぜ?宝石趣味だからお前と話も合うだろうし。」
「ツバキ?イトコの名前か?」
「そそ。柊 椿。中二だけど、きっと新も気に入るぜ。」



「……ヤナ君、留守じゃん。」
「今日って話はしたんだけどなァ…」
新のボロアパート、柳と電車で話していた男の子…椿が呟く。
それを受けて、柳も呟く。椿がドアに触れ、ポケットに手を突っ込んだ。
「…ヤナ君、ドアから離れてて。」
「……椿?まさか、ドアぶっ壊すとか言わねェよな?」
「それが言うんだよ。ディア!!」
椿のポケットから光が漏れる。その直後、椿の隣に少年が現れた。
少年がため息をひとつ吐いて、ドアに手を触れた。
「相変わらず椿はカゲキだなァ……光刃奔流。」

「あ〜、開いた開いた。」
「椿、それ……」
「ん?ああ、ディアは見せたことなかったっけ?」
椿が笑い、少年…ディアがため息を吐く。柳の瞳が揺れた。
「コイツは僕が探してる『運命』の1人、ダイヤモンドのディア=アダマス。そして……」
言いながら、奥の部屋のドアを開ける。
本を読んでいたルビィと、ベッドに腰掛けていたエメルが顔を上げた。
「不法侵入〜」
「この居留守め。」
エメルと椿がお互いを指差して笑いあう。隣でルビィとディアがため息を吐いた。
柳が、椿の前に立つ。それを見て、椿が首をかしげた。
「ヤナ君?いくらイトコの君でも……僕の『運命』を邪魔するなら許さないよ。」
「じゃあ何だ?イトコがドロボーになるのを黙って見てろってか?」
椿と柳が睨み合う……その後ろから、3人に向けて光が降り注いだ。
「しまっ……」
「この光は人間には影響ない。人外にだけ、その真の姿を照らし出す。」
「ヤナ君。邪魔をすると言うんなら……あのドアみたいに、君も斬ることになる。」
柳をスルーして部屋に入り、エメラルドとルビーを拾うディア。
それを確認して椿が振り返る。

入り口に新とアクィが立っていた。
「ドア破壊と不法侵入に空き巣か?中々、やんちゃしてくれるな。」
「全部ひっくるめて『強盗』じゃないの?久しぶりだね、ディア。」
「君がアラタ君?悪いけど、エメラルドとルビーはもらってくよ?」
「て言って素直に渡してくれる奴じゃないよ。特にアクィの方は。」
てくてくと、再び柳をスルーして椿の隣に戻るディア。
ディアから2つの宝石を受け取って、椿がにっこり微笑んだ。
「隣のアクアマリンと…君から感じる気を見るに、あと2つあるっぽいね。」
椿と新が睨み合う。周囲の空気が、カラカラと乾燥していった。
「椿。周りの空気が乾燥してる……アクィが、何か仕掛けてくるぞ。」
「そうだね……今日は、エメラルドとルビーで勘弁してあげよう。」
「ドロボーからドロボーして、許されると思ってんのか?」
「ヤだなヤだな。判ってないのは君だよ?こっちには、ヤナ君って人質が居る。」
慌てて新が柳を振り返る。その隙に、椿が新の首に手刀を当てた。
「ぐっ、テメッ!」
「ほんの一瞬、動きを止められればジューブン!」
「スプラッシュ「光学迷彩。」
アクィが手に溜めた水を放とうとした瞬間、椿とディアの姿が消える。
そのまま、笑い声だけが遠くなっていった。



「……紅、荒れてるね。」
どこかのビルの一室。ボロボロになったトレーニング機材の中に、一人の青年が立っていた。
「仕方ねェだろ。エメラルドの回収、大失敗だったんだから。」
「そもそもアレの流出は私の部下の責任だから、気にしなくていいのに。」
「今度、回収してくる。オーヴィスとアンズを借りるぞ。」
踵を返して出ていく青年…紅。
「ねェ、『怪盗真紅』。」
声を掛けられ、足を止めて振り向く。お互いに、少しだけ微笑んだ。
「私たちの願いが対立したら、どうする?」
「オレらに譲り合いの心なんてねェだろ?カチ合ったら闘うだけだ、蒼。」

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