『オレと一緒に来ないか?』
その言葉がいつだって、僕にとっての道標だった。


〜たとえば、こんな週末 2〜


「セータ!お買い物行こうよ!」
「……またですか?誠人さん。」
突然の誠人の言葉に、クライング・スマイルの共用リビングを掃除していたセータが困ったような顔をした。
この副店長は、ときどき、いや割と頻繁に、この小さな従業員を買い物に連れ出すのだ。
「春の新作を買いたいんだよね。付き合ってよ!」
そう言いつつ誠人はセータの手から掃除道具を奪って、にっこりと笑った。


「セータくらいの身長だと、可愛い服多くて良いよね。」
「誠人さんの身長でも、似合う服は沢山あると思うんですけど……」
セータが上目遣いで誠人を見る。セータには服を買い与えるくせに、誠人は大体いつもワイシャツだ。
「まぁほらセータはさ、種族的にこれ以上身長変わらないでしょ。買った服、長く使えるよ。」
と呟いて、誠人は両手に持っていた服を見比べて、左手のほうを売り場に戻した。
「…それを言ったら僕だって、ロザリオ持ちは歳とらないけどね。…僕はまだ、成長を諦めてないから。」
そう、誠人が言って乾いた笑いを漏らすのを、セータは複雑そうな目で見上げていた。
「誠人さん……」
「大丈夫!ロザリオに適合したのは悪いコトじゃないよ。そのお陰で裕にも会えたんだし!」

「その十字架、重いだろ、すごく。……それでもお前は、立ち上がれるか?
 もし…もし、お前が立てるなら、戦えるなら……オレと一緒に来ないか?」


誠人は目を閉じて、とても、とても幸せそうに微笑んで…そして、セータに視線を向けた。
「セータだって、裕に会えて良かった、って思うでしょ?」
「それは…はい、思います。とても。」

「こっちも『依頼』を受けての仕事なんだが、どーしたもんかな……
 なぁ、物は相談なんだけど。もしお前が良ければ、オレと一緒に来ないか?」


「……誠人さん。そろそろ、早く帰って裕さんのために仕事しませんか?」
等というセータの顔は、瞳に嬉し気な光が宿っていた…けれど。
「ゴメンねセータ、実は僕いま仕事中なんだ。
『仕事しすぎの従業員を無理やりでも仕事から引き離せ』って、店長からの指示でさ。」
とても、とても楽しそうにそう言って、誠人はにっこりと笑った。
「だからセータ、もう少しお買い物付き合ってもらうよ!」

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