手を繋いで、歩道を歩く。
心を繋いで、日々を歩む。


〜シャム双生児〜


「……とは、一卵性双生児の身体の一部が連結・癒着している状態、またその双生児を指す。」
「「アレ?ロンフー、勉強?」」
「あ、火燕さん・水雀さん。ええ、少し。」
にこやかに笑いかけて、辞書を閉じるロン。
それを横から奪い取って、水雀がパラパラと読み始めた。
「シャム双生児、ねェ。身体の繋がってる双子ってのは確かに珍しいよね。」
「2人は一卵性ですか?それとも二卵性?……色素が違うから二卵性かな。」
「いや、色素は突然変異で、一卵性とか聞いたような……」
仕事の無いファミレスでの井戸端会議で、兄の袖を引っ張る弟。
何かと思って振り返ったら辞書のある1ページで止まっていた。
「シャム双生児で繋がるのって、身体だけ?『カラマーゾフの兄弟』って痛覚が繋がってなかったっけ。」
そもそもアレは3兄弟である。

「でも、『双子だから』って理由だけで以心伝心する漫画もありますよね。」
「身体が繋がって無くても、実は心が繋がってるって?なんかヤだな、それ。」
「兄、その言い方ひどくない?」


「VIか。君たちも呪われた子なんだね。」

「……初対面の人間に『呪われた』ってのは失礼じゃね?」
「あぁゴメン、僕も呪われているものだから。……僕はXIIだ、以後よろしく。」
そういって、目の前の少年が両手を差し出す。

その右手首に、XIIのタトゥーが入っていた。

「そのイレズミ……」
「君達の、その腕のVIのタトゥーと同じだよ。」
少年が、火燕の右腕と水雀の左腕を指さす。そこにも、VIのタトゥー。
双子が自分のタトゥーを押さえる。少年が苦笑して、強引にそれぞれの腕を引っ張って握手した。
握手が終わると、少年がタトゥーを隠すように手首に包帯を巻く。

「「……リストカットみたいだ。」」
「そうだね。けど、『同じ』子以外に見せたくないんだ、コレ。」

「「同じ……」」
「知ってほしいんだ、同じ人が居るってこと。それから……呪いの効力も。」
巻き終わった包帯を握り締めながら、少年が小さく笑う。
「僕の呪いは『犠牲』。ある条件を満たした人の痛覚を、僕が代わりに引き受ける。」
……その笑顔は苦笑のようで、或いは自嘲のようで。

「君達はVIだから……確か『結合』だ。自覚ある?」
「「……さてね。ねぇ、アンタ名前は?」」

「それは、また会えたときに取っておくよ。」



「心が繋がってるとか、ろくでもねェ。長々付き合いすぎてツーカーってるだけさ。」
「18年間同じ生活なら、同じ性格にもなるって?夢が無い話ですね。」
「夢なんて無くて良いんだよ。普通が一番…なんだから。」

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