ここに居たかった。
こころが痛かった。


〜柔らかい殻〜


「ロン!3番テーブルにラーメンチャーハンギョーザにシュウマイ!!」
「おっけ、すぐ出来る!あ、これ7番のゴマ団子!!」
実に久しぶりに客が居る料理店。たった2組だが。
「ユーセー、3番のラーメン!伸びるから早くね!」
「へいよー!っと、7番帰るな、レジ行かなきゃ。」
……客が居るときに限ってシフト人数が少ないという不運。
フロア1人、キッチン1人、たった2組でも大事である。

「1785円になります。ありがとうございました、またお越しください!」
ニッコリと笑って、お客が帰るのを見送るユーセー。
ドアが閉まった直後、バッタリとレジ机に突っ伏した。
「お疲れユーセー。」
ロンが手に皿を持って近づいてくる。中身を見ると、卵焼きが並んでいた。
「ロンこそお疲れ……卵、か。」
「ちょっと遅くなっちゃったけど賄いにしようよ。」
2人で笑いあう。ユーセーが1つ食べて、そしてため息を吐いた。
「美味いよ。けど……」
「知ってるよ。卵は嫌いなんでしょ?」


「哀しそうな顔の、お坊ちゃま……か。」
「ストリートキッド?…あんな日陰で、暮らしてるのか。」

「「この窓を開けたら、ホントに何か変わるのかな。」」

「どんなに自由だったとしても、所詮そこは日陰なんだよ!」
「どんなに陽が当たろうと……檻の中で、満足なのかよ!!」


閉じていた目を開けて、ロンが小さく笑った。
「けどね、ユーセー。殻は、割れるんだよ?」
「……知ってるさ、それぐらい。」

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