ボクラはVI、その呪いは『結合』。
アノ子はXIV、その呪いは『浄化』。


〜ナンバリング〜


「「……意外と盛況だあ。今回の桃マンは当たりかな。」」
火燕、水雀の兄弟がレジを見る。特設お持ち帰りコーナーには数人の客。
「お客様は『限定』って言葉に弱いからなァ。」
「それ、お客様の前で言っちゃ駄目だよ。」
2人で桃餡饅の仕込みをしながら笑うユーセーとロン。
本来はフロアスタッフであるユーセーまで仕込みに回る状況。
「……しっかし手が足りねェな。嬉しい悲鳴って奴かね。」
「普段はポツポツとしかお客さん来ないもんね。……あ、また。」
からんからんと音が鳴って、ドアが開く。すかさず振り向いて、いらっしゃいませの一言。
黒ずくめの服を着た少年と、灰色の髪をした少し年下の少年の2人組。火燕と水雀が接客に出た。
「「いらっしゃいませー。お持ち帰りですか?」」
「あ、はい。桃餡饅を4つ。」
「すみません、ただいま蒸しておりますので数分お時間宜しいですか?」
「出来ましたらお呼びいたしますので、こちらの番号札を持ってお待ちください。」
流れるような受け答えで、灰色の髪の少年に番号札を手渡す水雀。
少年がそれを受け取った直後、火燕が…その少年の、腕を掴んだ。
「えっ?……ど、どうか、しましたか?」
「……ウチの子に何か?」
怪訝そうな顔を見せる、2人の少年。それに注視して、水雀も気付いた。
……少年の首筋。ゆるめられたネクタイの陰に見え隠れする、数字。
「「XIV……君も、呪われた子なのか。」」


「驚かせてゴメンネ、タッジオ=アンシェンベル君。この呪いについてどれほど知ってる?」
「…僕が呪われているという話自体、初めて聞きます。」
「そっか。じゃあまずはこの呪いの軽い説明と……それと。」
店の奥の4人席に通された、タッジオという少年と黒ずくめの少年。火燕と水雀が厨房に目を向けた。
「「……別に隠すことじゃないし、盗み聞きしなくても教えるよ、友誓、龍虎。」」
「あ、バレてた?……オレも初耳だぞ、火燕、水雀。『君も』ってことは、お前らもだろう。」
「「そうだよ。まぁ、ボクラもあんまり詳しいことは知らないけどね。」」
双子が、上着を脱ぐ。それぞれの右腕と左腕に、"VI"の文字が在った。
「基本はタロットだよ。……この呪いが、タロットの起源とも言われてる。」
「…まぁ実際のところは逆にタロット見た術者が面白がって作ったんだと思うけど。」
タッジオが、自分の首筋を押さえる。XIV、タロットならば…『節制』。
「「ボクラの呪いは『結合』。君の呪いは……確か、『浄化』だったかな?」」
「……『浄化』?」
「「呪いったって、全てが害を為すわけじゃないさ。……君の呪いは誇って良いよ。」」
にっこりと笑う、双子。その笑みを見て…タッジオが、小さく俯いた。
「その言い方……自分は誇ることの出来ない呪いだ…ってことに聞こえるよ。」
ロンが呟く。ユーセーも、タッジオも、黒ずくめの少年も……それに気付いている。
「「皆には教えておこうか。ボクラの呪い、『結合』は……」」


「今日はウチの馬鹿が引き止めて悪かったな。桃マン1個おまけしとくよ、タッジオ君。」
ユーセーが、タッジオの持つ袋の中にもう一つ桃マンを入れる。
タッジオが少しだけ首を振って、そして礼のように頭を下げた。
……その首筋は、ネクタイが締められてもう見えない。
「……あの!……また来ても、良いですか?」
タッジオの言葉に、ロンとユーセーが顔を見合わせる。そして、奥の双子を見た。
…火燕と水雀が、視線に気付き振り向く。
「「…もちろん、いつでも待ってるよ。」」

戻る